全世代型社会保障への改革をさらに前進

後期高齢者医療費が2割負担の対象者は約370万人に

政府は全世代型社会保障改革の方針を決定し、令和4年度後半からの75歳以上の医療費窓口負担を、単身世帯で年収200万円以上の人については、1割から2割へ引き上げることとしました(対象者は約370万人)。
また、少子化対策として令和4年度当初から不妊治療を保険適用とするほか、令和3~6年度末の4年間で約14万人分の保育の受け皿を整備するとしました。

医療の見直し

①後期高齢者の自己負担割合を1割から2割へ

「現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる社会保障制度を構築する」ため、現役並み所得の人を除く75歳以上の後期高齢者の自己負担割合は、令和4年度後半から単身世帯で年収200万円以上の人は2割へ引き上げることになりました。夫婦ともに75歳以上の場合、年収が計320万円以上で該当します。なお、長期頻回受診患者等への配慮措置として、施行から3年間は負担増を1カ月当たり最大3,000円に抑える激変緩和措置が導入されます。

ポイント

団塊の世代が75 歳以上になり始める令和4年(2022 年)には、現役世代が負担する後期高齢者支援金の急増が見込まれます。団塊の世代が75 歳以上になると5 人に1 人が後期高齢者となるため、世代間で公平な負担となるよう、後期高齢者の窓口負担割合を2 割へと引き上げられます。

 

②医療提供体制の改革について

今般のコロナ禍を踏まえ、都道府県の医療計画に新興感染症等への対応を位置づけ、医療需要の変化を見据え地域医療構想の外来医療におけるかかりつけ医機能を強化するとともに外来機能の明確化・連携を図ることになりました。あわせて、安全性・信頼性の担保を前提としたオンライン診療の推進をはじめ、医師の働き方改革、医師偏在に関する実効的な対策等が進められます。
また、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能強化を図るため、患者が紹介状なしで大病院を受診する場合に定額負担(初診5,000円)を求める医療機関の対象範囲を、地域の実情に応じて明確化する「紹介患者への外来を基本とする医療機関」のうち一般病床200床以上に拡大します。加えて、外来機能の分化の実効性が上がるよう、保険給付の範囲から一定額(初診の場合、2,000円程度)を控除したうえで同額以上の定額負担を追加的に求めるようになります。

少子化対策の強化

①不妊治療への保険適用

令和4年度当初から不妊治療の保険適用を実施することとし、それまでの間は経済的負担の軽減を図るため所得制限の撤廃や助成額の増額(1回30万円)等を前提に大幅な拡充を行うことになりました。また、不育症の検査やがん治療に伴う不妊についても新たな支援を実施します。

②待機児童の解消

政府は、待機児童の解消をめざし、かつ、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を進める「新子育て安心プラン」をまとめます。
具体的に、令和3~6年度末までの4年間に約14万人分の受け皿を整備する財源については、公費に加えて経済界にも協力を求めることでより安定的に確保します。その際、児童手当は年収1,200万円(子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合)以上を「特例給付」の対象外とします(令和4年10月支給分から適用)。